奈良市への提言

奈良市への提言

 “福祉”は活きています。姿は見えませんが、活きています。
それは、速く進んだり遅くなったり、時にはとどまったり、後戻りしたり、中には、途中で消えてしまったり。

 その様な福祉と一生寄り添って生きていかなければならない人たち。
それが障害者です。『奈良市手をつなぐ親の会』の会員であり、『奈良市心身障害者・児福祉協会連合会』の会員なのです。そして、奈良市で暮らす身体・知的・精神手帳所持者です。

他の障害に比べて、自ら考え、決定し、行動し、そして確認する。この行為が不得意なのが、私たちの子ども、知的障害者・児です。
そして、地域で生活していく上で一番必要な“人間関係”が苦手なことも、彼らの特性です。

今回、私たちが考えていることを23項目に分類しました。
現状を把握して課題を整理し、それについての提言を、ともに考えていただけるような形で表してみました。
自らの生活課題は自らの提案で、自らも汗をかきながら、共に解決していきたいのです。それが当会の活動の姿です。

そして、会員の事だけではなく、奈良市に住む全ての知的障がい者(発達障がいを含む)を考えての運動をしています。
ただし、障がいを持つ人への直接支援・個別支援はできません。それは福祉事業所の担当であると考えているからです。

私たち『奈良市手をつなぐ親の会』の役割は、間接支援、言い換えれば、福祉環境を整えることと考えています。
福祉環境が整備できれば、全ての奈良市民が生活しやすいと信じているからです。

 福祉サービス・福祉事業を提言するだけではなく、時間はかかりますが、全体の環境を整備しないと安定した福祉を継続することができません。 「人・金・物」が変わることにより変動するような福祉は“市民権を得た福祉”ではありません。直接・間接支援をされる方は選挙・異動・退職により変わる可能性があります。
しかし、当事者は変わることなく“障害”という二文字と付き合って一生を終えるのです。


奈良市手をつなぐ親の会 会 長 小 西 英 玄

 

奈良市への提言  奈良市手をつなぐ親の会〜

養護学校卒業後の進路に関する提案
養護学校の大学機能を、専修学校で創りませんか?
18歳までの養護学校時代はもっと楽しく、卒業後22歳までの4年間で進路を決定。
文科省から厚労省への移行、現状に合わせた支援体制を。 

障害者医療に関する提案
電話1本で対応できるシステムを市立奈良病院で創りませんか? 
障害者医療は、専門医療と一般医療の2つに分けることができます。
障害者が緊急に病院を必要とした場合、“障害者医療ホットライン”で搬送システムの構築を。

所得保障に関する提案
一ヶ月2万5千円の所得保障は、2万5千円のサービス保障と考えては?
1級年金+2万5千円があれば、GH/CHでの支援付き自立が可能です。
働くことの可能な方は給料としての所得保障。
福祉サービスも広義の所得保障と考えて、利用者には公費負担額の通知を。

緊急時対応に関する支援の提案
介護保険と同じように、申請時からの“見なし認定”をしませんか?
通常の福祉が充実してきたことにより、次の課題が見えてきました。緊急時に対応できる福祉です。災害時もありますが、日常生活での緊急時対応に関して“見なし認定”をご検討ください。

相談支援に関する提案
相談支援事業の平準化を図るため、総合相談支援センター機能を創りませんか?
福祉事業の活性化は、相談支援事業の“質”で左右されます。現時点の相談事業を抜本的に見直す時がきています。

療育的支援に関する提案
成人期を含む療育的支援システムを奈良市に創りませんか?
医療における(診察→検査→治療)のシステムと同じように、福祉にも(相談→検査→支援)の 
システムが必要です。

小学校におけるデイセンター機能の提案
小学校の空き教室を利用して障害者・高齢者のデイセンターを開設しませんか?
障害児を取り巻く環境教育(福祉教育)実践の為、校区内の老人・障害者のデイセンターを地
区社協・民児連・自治連合会が開設する企画は如何ですか。

総合福祉センターと公民館との連携
地域の公民館・東西南北福祉センターにも、障害者メニューを創りませんか?
奈良市総合福祉センターが障害者福祉のセンター機能を発揮。そのセンター機能を公民館・東西南北福祉センターにサブ機能として展開。地域の福祉センターで顔の見える活動を。

マーチャントシードセンターの有効利用について
廃館になるマーチャントシードセンターで、福祉支援事業を行いませんか?
街の真ん中に福祉事業所があっても良いのでは? その発想から、障害者観光案内所・
「お買い物のお母さん、子どもさんを預かります」サービスなど“まちなか福祉”の展開を。

奈良市委託事業に関する提案
働く場・社会参加の場・所得保障の場として奈良市が提供できる委託事業はありませんか?
公用車の洗車・庁内リサイクル紙の回収・ロビー清掃・市民だよりの自治会配布等、
“障害者の姿が見える化”を演出して、福祉啓発を。

福祉人材育成に関する提案
奈良市職員の方に、定期的に福祉・環境・教育・医療現場の実習を行いませんか?
新人研修・現任研修・昇級試験等に 福祉・環境・教育・医療での現場実習を行い、人を支える事、環境を整えることの大切さの理解をより深め、今後の奈良市政に行かせる試みです。

福祉職員の生活保障について
平均年収250万円という生活環境をどの様にすれば改善できるかを話し合いませんか?
市独自の補助システムが有れば素晴らしいのですが、今の財政状況では不可能に近い状態。
報酬単価の増額以外で何か良い施策は無いでしょうか。我が身の問題として一度話し合いを。

奈良市障害者スポーツセンター機能
奈良市総合福祉センターに障害者スポーツセンター機能を持たせ、スポーツリハビリを。
福祉施設ではありませんが、体育館・プール・グランドを使い健康維持のためのスポーツリハビリを行なえる、障害者スポーツセンターが中核都市奈良市に必要では?

奈良市障害程度区分に関して
今一度、障害程度区分の意味を考え、奈良市内での見解を決めませんか?
“何のため” “誰のため”の区分認定なのでしょう。支援が必要だから区分認定? 区分認定があるから支援が受けられる? 何か変では。個別支援計画があるから支援ができるのでは?

奈良市地域自立支援協議会の再編成について
当事者団体には、存在感・活動が見えません。最終責任者はどなたですか?
国が法律上に根拠を定めようとしていますが奈良市に自立支援協議会が必要ですか?
必要であれば、相談・支援・療育・協議会の連携をとる単独法人の設立も要検討事項です。
観光と福祉のコラボレーション
障害者の観光誘致を福祉事業で行ないませんか?
観光施策と福祉施策の連携で、経済効果が得ることができないかを考えました。
他府県から障害者をシーズンオフに観光客として、福祉施策との連携でショートステイ利用を。

環境と福祉のコラボレーション
まだ手がけてないリサイクル事業があります。リサイクル教育・市民リサイクルを福祉で。
奈良市の独自の福祉施策が、リサイクルと障害者との関わりです。
“古紙や牛乳パックからトイレットペーパー“を学齢期から環境教育の一環として取り組みを。

災害時対応とその整備
福祉避難所の設置は? 災害時のデーター整備は? 障害者の地域防災は?
当事者が参加できる、障害者防災・災害時対策会議を定期的に開催しませんか?
個人情報は私たちの手で災害時に使えるように作ります。

成年後見制度への提案
高齢者とは違う後見が知的・精神障害の世界にあります。護る後見と支援の後見のバランス。
単独後見・複数後見・法人後見。財産管理・身上監護。どの組み合わせであっても支援がなければ制度は成長しません。国は必須事業化を行いますが、市での統一見解について議論を。

施設整備はだれの手で
5年後・10年後を想定した奈良市の施設・事業所の整備は、誰が・いつ・何処で?
各法人の事業計画での施設・事業所整備で良いのでしょうか?
奈良市が一つの大きな社会福祉法人、現行の法人が施設・事業所という意識が必要です。

授産振興の新しい風
観光の“おみやげ”としての授産品を官・民・校で開発しませんか?
《鹿の糞》 《大仏のへそ》の様な面白みやげ物が販売されています。
各地の物産展をすることで県内需要、商品開発で県外需要を伸ばすことができるのでは。

福祉啓発は皆の手で
『ふれあい福祉大会』の規模が縮小されました。 残念です。
それに変わる啓発事業は? 福祉関係者への内部啓発と、市民への外部啓発が必要です。
12月の障害者週間に、有効な啓発事業として庁内でパネル展を考えませんか。

夢ある福祉計画を
当事者・支援者・行政の手で、福祉計画を創りませんか?
障がい者福祉基本計画・障がい福祉計画・地域福祉計画があります。改定が平成25年までの延長になりました。それまでの間、現行の福祉計画の重みを何処に感じれば良いのですか?

 2011年8月23日